大原はだか祭り 祭り唄
〽 お前 どこ行く大原まちへ はだかまつりの 便り来た
〽 雲に 隠れたあの月さえも おどりみたさに 顔を出す
〽 沖の かもめに潮時聞けば 私しゃ飛ぶ鳥 波に聞け
〽 小浜 港にどんと打つ波は 可愛あの娘の 度胸さだめ
〽 遠く 離れて逢いたい時は 月が鏡に なればいい
〽 小浜 八幡様赤いもんが好きだ 染めてあげましょ花染めに
〽 にしら 知らぬなおらが鳥ゃチャボだ チャボが二度鳴きゃ 夜が明ける
〽 男 だてならあの利根川の 水の流れを 止めてみな
〽 小浜 横浦に一度はおいで 根のない桜に 花が咲く
〽 その声で とかげ喰うかよ山ホトトギス 人は見かけに よらぬもの
〽 小浜 出る時きゃ涙で出たが 塩田川をば うたでこす
〽 切れた 切れたとひとめにばかり 水に浮き草 根は切れぬ
〽 咲いた 桜になぜ駒つなぐ 駒がいさめば 花が散る
〽 浅い けれども硯の水は 細くたのしむ 筆の先
〽 惚れて 通えば千里も一里 逢わずに帰れば 又千里
〽 男 度胸と桜の花は 咲くも花なら 散るも華
〽 川の 流れよ塩田の浦に 真実一路の 物語り
〽 そろた そろたよ踊りがそろた 秋の出穂より 良くそろた
〽 嫁も 迎えた孫子も出来た 後はこの子と はやすだけ
〽 器量 人並みとりえもないが 孫をでかした 大手柄
〽 つねりゃ 紫くいつきゃ紅よ 色で仕上げた この体
〽 長者 山から夷隅川のほとり 祭りばやしの 灯がゆれる
〽 小浜 港に樫の木を植えて 植えて育てて ろのうでに
〽 東浪見 じたからいれ熊見れば 明日も大漁と 鳥の群
〽 大工 頼んで忍びの窓を 押せばあくよに ひらくよに
〽 父と 別れて日在浜をゆけば 松と露やら なみだやら
〽 船の みよせにウグイスとめて あすも大漁と 泣かせたい
〽 御神酒 きげんの親父の唄に 肩の子供が ひとねむり
〽 波の あやなす桜ヶ浦よ 競う汐ふみ 勇み肌
〽 咲いて 競った男の肌が 灯りに映えます 大別れ
〽 しけを 覚悟の荒灘稼ぎ 肌の守りは 廣田様
〽 先生 先生先生と威張るな先生 先生はよ生徒のよ ガキ大将
〽 千万の 金を積んでも得られぬものは 人の誠と徳の二字
〽 沖の 背で鳴け磯浜千鳥 明日はおいらのノド聞かそ
〽 波の しぶきを黄金に染めて 小浜港に朝が来る
〽 心 残して常盤の国へ 帰るつばめのふたごころ
〽 信州 信濃の新そばよりも 私ゃあなたのそばがよい
〽 連れて いくから髪結い直せ 世間島田じゃ渡られぬ
〽 故郷を 離れて聞く笛太鼓 そそろ身にしむ旅の風
〽 小浜 恋いしゃ八幡様よ 森が見えます ほのぼのと
〽 どうせ こうなりゃ二足のわらじ 共にはいたり はかせたり
〽 三十 五反の帆をまきあげて 行くよ仙台 石の巻
〽 おせや おせおせ二丁呂でおせや おせば港が 近くなる
〽 船は 千来る万来る中で 私の待つ船 まだ見えぬ
〽 踊る 黒潮八幡岬 波のしぶきの 花もよう
〽 浜の 姉御はおしろいいらぬ 銀のうろこで 肌光る
〽 可愛い 男と一晩寝れば 声もよくなる 背も育つ
〽 船は 出て行くかもめは帰る 波に磯打つ 日は暮れる
〽 一度 来て見た大原祭り 私も若けりゃ 嫁に行く
〽 小浜 港にかすみがかかる 妾お前が 気にかかる
〽 今年は 豊年穂に穂がさいて 道の小草に 米がなる
〽 色で 身を売る西瓜でさえも 中にゃ苦労の 種がある
〽 丸い 玉子も切りよで四角 物も言いよで 角がたつ
〽 宮に たどりて神輿が舞えば 東のお空も ほのぼのと
〽 神輿 かぞえりゃ十と八社 これではやさにゃ 名がすたる
〽 最上 山から大原見れば 祭りばやしに 人の波
〽 小浜 よいとこ一度はおいで 根のない桜に 花が咲く
〽 姉と 妹にむらさき着せて どちらが姉やら 妹やら
〽 小浜 港に来てみやしゃんせ 根のない桜に 花が咲く
〽 あえば さほどの話も無いが あわねば苦労で眠られぬ
〽 小池 小沢の嫁御になるな 雨が三つぶりゃ わらじかけ
〽 大原 十社まちゃ矢指戸はねまち 小池小沢が たつぼまち
〽 梅も いやだよ桜もいやよ 桃と桃とのあいがよい
〽 かすむ 八幡崎朝日にそめて 波の綾織る 丹ヶ浦
〽 送り ましょかよ送られましょか せめて追分けの 門までも
〽 義理に せまればウグイスさえも 梅を離れて やぶでなく
〽 おいで おいでと二度だまされて またもおいでと だます気か
〽 いろで かしたかねアヒルの卵 かえす心は さらにない
〽 何を くよくよ川ばた柳 水の流れを 見て暮らす
〽 風に 明かりを消させておいて 忍び込むのは窓の月
〽 鳴いて 鳴いて鳴いて鳴いて鳴いて鳴いて 鳴いて血を吐くよ ホトトギス
〽 人の 情けとお船の汽笛 遠くナル程胸にしむ
〽 月の あかりに二つの影が 青く濡れてる日在浜
〽 小浜 出るときゃ涙が出たが 塩田川をば うたでこす
〽 祭り 来たとて嬉しゅうはないが 小豆茶の子にかぼちゃ汁
〽 お茶も たてなよお花も活けな 秋の祭りにゃムコ選べ
〽 米の なる木でわらじを作り 踏めば小判のあとがつく
〽 私しゃ 大原荒波育ち と言うて鰯の 子ではない
〽 思い 出したら又来ておくれ 椿花咲く 大原へ
〽 俺と 行かねか九十九里浜へ かぐら地引の 綱引きに
〽 高い 所が望みならば 足下大事に お静かに
〽 秋の 祭りにゃ嫁子も連れて 飛んでおいでよ お囃子に
〽 幟 はためく社の森に 孫に急かされて 宮参り
〽 泣いて くれるな出船の時は 沖でろかいが 手につかぬ
〽 めでた めでたが三つ四つ五つ 扇めでたが すえひらく
〽 送り ましょかよ送られましょか せめてあなたの そばまでも
〽 小浜 港は遠浅なれど なぜかとしまが 色ぶかい
〽 よせば よいのにしたきり雀 ちょいとなめたが 身の定
〽 国を 離れて聞く笛太鼓 そぞろ身にしむ 旅の風
〽 山の あけびは何見て割れる 下の松茸見て 割れる
〽 赤は 八幡しぼりは廣田 汐でぬれてか 唄で行く
〽 常は 控えめ亭主を立てて やりくり上手の 唄上手
〽 風に 明かりを消させておいて 忍び込むのは 窓の月
〽 着いた ばかりですぐ出る舟は 逢へて話は 後や先
〽 竹の 切り口たまりし水は すまずにごらず 情心
〽 いやな ものならなぜあのときに かわいい私を まよわせた
〽 大工 さんよりこびきがにくい 中のよい木を ひきわける
〽 暮れる 水面に灯りが揺れる 旅の一夜の 窓の雨
〽 黄金 波打つ豊かな実り お浜大漁の 当たり年
〽 沖の かもめが物言うならば 便り聞いたり 聞かせたり
〽 主の 出船を見送りながら またの逢瀬を 楽しみに
〽 いやで あのちょになでくるものか 二町や三町の 道じゃない
〽 浜の 姉御と海老鯛鮑 競いをあやつる イキの良さ
〽 小浜 育ちは鴎が仲間 沖の瀬音が 子守歌
〽 色の 白いは自慢にゃならぬ お船迎える あの姿
〽 みがけども みがけどもねが鉄なれば 時々浮気の錆がでる
〽 恋に こがれて泣くセミよりも 泣かぬホタルが 身をこがす
〽 そろた そろたそろたよ小浜三社がそろた 赤にピンクによ 豆絞り
〽 唄え 踊れと唄せめられて 唄は出ませぬ汗ばかり
〽 板子 枕の船方さんに させてやりたやひざ枕
〽 奥山で 一人米つくあの水車 誰を待つやらくるくると
〽 親の 意見となすびの花は 千に一つの無駄も無い
〽 しめて なるのがつづみに太鼓 ならぬ私をしめたがる
〽 はずむ 子供らのはやしに乗せて おのず神輿が勇み出す
〽 娘 十七八やさせ頃し頃 親もさせたがる針仕事